第9章 十四歳
「ありがとう、カカシ君。コレ可愛いね、嬉しいよ。」
「うん、やっぱり似合ってる、花奏さんに。」
ピンクゴールドのネックレスを愛しそうに触り、私を見て、ニッコリ笑ってくれている。
「お誕生日おめでとう、花奏さん。」
「ありがとう、カカシ君、好きだよ。」
「じゃあ、帰るね、花奏さん。」
そう言ってソファから立ち、帰る準備を始めて玄関に向かう。
「クリスマスイブは外で会おうよ。また時間は今度決めるから」
「あ、…うん。ねえ、今日ぐらい、もっとゆっくりして…」
急いで追いかけて彼を引き止めるが、頭を撫でられ、顔を横に振る。
「花奏さん、忘れたの?あなたは女でオレは男だ。ちゃんと意識して。」
「でも……」
「花奏さん。あと一年だよ。オレはあなたを本気で抱くから。」
そう言って、彼は優しいキスを帰るまえに一度だけ私にプレゼントしてくれた。
「じゃあ、またね。」
「うん、……またね。」
大人になっていく少年はドアを開けて、後ろを一切振り返らずに帰っていった。