第8章 別れた後
「カカシ君……!久しぶり!元気?ちゃんとごはん食べてる?身体怪我してない?」
「カカシでしょ?外で話すときは。普通にやってるよ。」
「ああ、そうだね、嫌だよね、ゴメン……」
「花奏さんも……元気そうだね。」
「うん、元気だよ。この前さ……、」
「花奏さん、今急いでて、オレ行くから。」
「あ、うん…またね……」
遠くにいく大人びた少年の後ろ姿を、ずっと未練がましく私は見ていた。
少し会わないうちに身長が伸びて、私と目線が同じか、もう身長も私を追い越している。
カカシ君はどんどん大人になっていく。
私の話なんか聞く時間が無いぐらい毎日忙しく暮らしているようだ。
街でたまに偶然、彼に会い近況を聞くが、大抵適当に流され、すぐに別れたがる。
やっぱり会ってしまえば、カカシ君を抱きしめたくなるけど、外での彼はいつも冷めて笑わない。
さらに厳しいイメージが加わり、その姿に私は困惑を隠せずにいた。
あんなに素直で明るく可愛いカカシ君だったのに、今ではクールで冷淡というイメージが、彼の中に入れ込み、さらには冷血という異名さえ人々に囁かれ始める。
それでも昔の面影は残っていて、私があからさまに、ションボリ落ち込んだ顔を彼に見せれば、一瞬の隙が見え、私に困り焦った姿を露呈していた。