第8章 別れた後
あれから本当に
カカシ君は来なくなる。
「何で?……カカシ君のバカ!」
心の拠り所を急に無くしてしまい、日々カカシ君を思い出せば、ジンワリ涙を流す日々を送る。
もしかしたら、またヒョッコリ来てくれるんじゃないかと、小さなノックの音を期待したけれど、頑として彼がこのドアをくぐる事は無かった。約束した日を私がただ、待つしか他なかった。
そこから感じるのは少年の強い意志であり、彼の心の自立や身体の成長を妨げるような事はしてはいけないと心に誓い、私もカカシ君の家に一切、顔を出していない。
さらに私の強情という強がりや、十歳年上という意地が入り込み、自らも彼と会いそうな場所にも、近づきもしないという、自分にも意地悪をする。
そのせいで本当にカカシ君とは、殆ど顔を合わせる日すら無くなり、私はどこか彼に依存した心があったようで、その気持ちからも、ようやく自立を始める。
いなくても平気だなんて絶対にない。
彼なしでも毎日枕を濡らして寝る事が少なくなり、元気に一人暮らしを謳歌している。日々仕事に精を成して頑張っていた。
そんなある日、偶然にも街で彼のシルエットを見かけ、まさか会えるなんて夢にも思わず、急いで走って声をかける。