第7章 十三歳
「どうして?イヤになった?寂しいよ、そんな事言わないで。」
「やだなぁ、オレの話聞いてた?花奏さんが大好きです。離れてもオレの気持ちはずっと変わらない。」
「だったら!ホラ、待ってるから、おいでよ。ね?」
私は縋るようにカカシ君を引き止めるが、いつも私の頼み事は断らないのに、これだけは、最後まで首を縦に振らない。
カカシ君は悲しそうな瞳を私に向け
深いため息をつき、理由を伝える。
「オレはあなたを抱きたいのに抱けないんです。ガキだから、子供だから、あなたに触れても、それ以上をオレには出来ない。それが理由です。」
彼は言い終わると、さらに悲しく落ち込み、泣きそうな顔で私を見つめた。
大人になっていってしまうカカシ君を、
まだ、子供のままでいて欲しいと願っている私は、涙を流して、名残惜しんでいる。
「ねぇ…ごめん、今のままじゃやっぱりダメなの?もう、…もうダメなの?」
泣いて泣いて、何度も涙を流して、諦めきれず、子離れ出来ない私はずっと泣いていた。
「そんな、泣かないでください…。毎年花奏さんの誕生日には、必ず来ます。それで、オレを許して下さい。」
カカシ君は、優しい提案をして妥協点を探し、私に同意を求めてくる。そんな一年に一回なんか、絶対許せなくて、私はワガママを彼に伝えた。
「……クリスマスイブも必ず来て。」
「え??クリスマス??ふふ、あーじゃあ、…イブも来ますから。もーそんな泣かないで、オレも泣いてしまうでしょ?」
優しいカカシ君に抱きしめられても、
全然涙は止まらなくて、寂しくて、不安で、心配で、離れて欲しくなくて、
私はずっと、ずっと、
カカシ君を
困らせていた。
その夜、
彼の愛を確かめ私の記憶に残るように、ずっとキスを繰り返し求め、抱きしめていた。