第5章 十二歳
「花奏さん、どうしてそんなに離れて寝るの?」
クスクスとずっと、布団に入ってから笑われている。
ーーカカシ君とあんな事はしちゃうなんて私頭がおかしいんじゃない??こんな子に手を出したなんて皆にバレたら逮捕されちゃうんじゃないの??え、もう今の段階で捕まる?捕まるの??
「……花奏さん…??」
後ろを向いてずっと彼の声を無視して、真っ暗闇の中、目をギュッと瞑るのに、頭からカカシ君が離れない。
「花奏さん、そんな態度取らないで、オレ泣いてしまうから、本当に無理……。」
「え?ヤダ!嘘、ゴメンね!泣かないで、カカシ君!」
彼の言葉に、私は胸が張り裂けそうな気持ちになって、いそいで振り返って、ギュゥウッと抱きしめた。
「カカシ君が、大好きだよ。気持ち良い。」
背中に手をまわして、密着すればカカシ君の小さな溜息が聞こえた。
「何でオレは、後十年早く産まれなかったんでしょうね。花奏さんが後十年遅く産まれてきてくれたら、良かったのに……。」
「うん、本当だね。」
「十八…、十八歳になったら結婚してくれませんか?早く大人になりますから、それまで待ってくれたら嬉しいです。」
「え?本当に言ってる?」
「勿論。返事はいつでもいいですから。おやすみなさい。」
カカシ君からなんとプロポーズされてしまって寝るどころかギラギラ目が冴えていく。
困って悩んでいれば、またカカシ君にクスクス笑われてしまう。