第5章 十二歳
「オレも、花奏さんが好きですよ、ずっと前から…オレも好きです。」
こんなニッコリ笑った顔は、中々最近は見せてくれない。嬉しくて泣きそうになっていた。
「初めて言ってくれたね、嬉しい。カカシ君、大好きだよ。ずっと一緒にいてね?」
「ふふ、花奏さん、さっきの話本当に分かってないでしょ。」
カカシ君は大きく溜息を吐きながら諦めたようにクスクス笑っている。
「好きです。花奏さん」
「私も好きだよ。」
カカシ君を至近距離でニコニコ見ていれば、彼が急に大人の顔に変わっていくのが分かった。目を真っ直ぐに私を見つめて、次の瞬間、顔を近づけキスをされていた。
「……っ!!!んっ、ダ、ダメ……。」
離れなきゃいけないのに、私は全然離れず、声だけ拒否をして、唇は、彼を受け入れていた。
顔を少し逃げるだけなんかすぐに捕まってしまう。
「花奏さん、逃げないで、受け入れて、花奏さん……好きだ、本気です。あなたしか、オレは考えられない……」
その声に反応して、私はダメなのに、
カカシ君のキスを受け入れてしまった。
私が大人しく受け入れた事に鋭敏に反応して、カカシ君は穏やかに笑い、また唇を満足そうに合わせた。
「…………好きです。花奏さんが好き…」
ゆっくり離して今度はカカシ君が私をぎゅうっと抱きしめる。
「自覚して下さいね?オレは男ですよ。」
「カ、カシ君……」
「次はこんなもんじゃ済みませんからね?」
クスクス満足そう笑われ、私はゆでダコのように真っ赤になってしまう。