第5章 十二歳
「花奏さんは、何にも分かってない。自覚が足りない。オレだってまだガキだけど男です。分かってますか?」
「分かってるよ!最近はあんまり抱きついたりしてないでしょ?カカシ君、嫌がるから。」
「ええっ!!?……あ…いや…それは…別に…してもらっても…」
「本当にーーーーーーーーーー??」
ぎゅむーーーと胸いっぱいに抱きしめ、頬をスリスリした。
たちまちカカシ君は、顔全体が真っ赤になる。
「花奏さん、ちょっ!……そんなに、オレを抱きしめるのが好き?」
「うん、好き、大好き、気持ちいい。」
ヨシヨシとワンちゃんを撫でるようにカカシ君の頭を撫でていれば、少し大人びた少年の優しい声が聞こえる。
「好きなら…いくらでもして良いですから……だから突然は止めてください。オレだって心の準備がいるんですから。ね?」
「うん、分かった。優しいね、なんか外で会う時と違うね?好きだなぁ。こっちの方がいいよ?カカシ君は。」
カカシ君の優しさにふれてキュンって気持ちになってあったかい体温を感じていた。
「花奏さんだけですよ、こんなにオレが心を許せる人は、ほかにいないです。」
私の腕の中で真っ赤になって喋る彼がたまらなく愛しく感じる。
「本当?嬉しい…カカシ君にそんな事言ってもらえて。大好き、好きだよ。」
目を細めて優しく笑ってカカシ君を見つめれば、彼も私を見つめて微笑み、愛の言葉を初めて私に伝えてくれた。