第4章 朝
「ごめん、今のは女としてダメだわ、ありがとう、指摘してくれて。」
「え??ああ、ハイ……、じゃあ帰ろうと思います。」
「どうして?朝ご飯の準備するから座って?クリームパンと焼きそばパン買ってるんだ、玉子焼き作ってあげるよ、座って待ってね。」
洗面台の棚に入れている髪ゴムで一つ括りにして、顔を洗い、歯磨きを簡単にして、気合いを入れて台所に立つ。
用意をしようと冷蔵庫を開けたら、カカシ君が焦って近づいて声を出す。
「ここまでしてもらうのは、申し訳無いし………。ちょっと!全然聞いてないでしょ!!」
「えーー?何ーーー?聞こえないーー?」
じゅわぁぁぁーと、油を引いた熱々のフライパンに卵を入れて、ヒョイヒョイとタマゴをひっくり返し、更に油を加え、ジュぅぅぅ、と残りをいれて、固まれば玉子焼きの完成!
我ながらバッチリな作品に口元がゆるまり、おススメ品を不貞腐れたカカシ君に見せて、評価を判定してもらう。
「見てよ、いっつも下手クソなんだけど、今日はバッチリ!カカシ君に食べて欲しいって言ってるわ、ね?一緒に食べよう?」
「……こうなるのが分かってたから、帰りたかったのに。」
「カカシくん、いっしょに、たべよう?」
「そんな言い方しないでくださいよ、オレはガキじゃないんです!」
「じゃあ、早く座ってほしいな、カ、カ、シ!」
「く…、はぁぁー。ほんっと強引……ハイハイ。」
帰るのを諦めたカカシ君。
小さな柔らかな頭をついでにヨシヨシとまた撫でちゃう。カカシ君は頭を撫でても全然怒らないから好き。
朝ご飯の支度の仕上げを機嫌よくやり終え、食卓にパパッと並べた。
大人びた雰囲気があるけど、彼はやっぱりまだまだ子供で、手は私よりちっちゃい。全部小さい。それが可愛い!
カカシ君は帰るためにつけてた口布を、また外して焼きそばパンをかじる。その姿は子供そのものだ。ニッコリ笑って満足して私もクリームパンを食べた。