第3章 夜
「カカシ君、何でも言ってね?私に出来ることならどんな事でも協力するから。」
「とりあえず離れて下さい。」
ベッドの布団の中でぎゅーっと抱きしめながら言えば、最初の要求は距離を置く事であった。
「なんでよ!」
「暑いの!近すぎでしょ!」
「クーラーつけてるから涼しいよ。」
「オレがイヤなの!」
ーーぷいと背中を向けちゃって、本当に、可愛くない!
それでも私はニヤリとしている。
背後から抱きしめるのも大好きだからだ。
ぎゅーっと身体を密着して包み込めば、声が出ないほど驚いてビクッと身体を反応させていた。カカシ君の胸に手を置けばバクバク心臓が脈打つ。
「ご、ごめん!驚いた?びっくりしたよね?」
「いえ、大丈夫です…。」
「だって、凄い心臓ドキドキしてるよ?」
「き、気のせいです。」
「本当に?無理してない?大丈夫?」
「はい………。」
私はその声に安心して目を瞑るが、カカシ君は違った。
「花奏さん!待って待って!寝ないで、放して!」
「えーーー、やだぁ、無理、気持ち良いんだもん。」
「オレ、本気で寝れない!」
「えーーーーーー、なんでーー!」
「離れて寝て下さいよ、大人でしょ?」
「こんな時だけ言わないでよ、私はまだ十七歳よ。」
「身体だけ大人で中身は子供ですよね、花奏さんは。」
ーーあ、それ言っちゃう。カッチーン
「はいはい、離れますよ、お休み!」
電気をパチパチっと消して真っ暗の部屋にして、カカシ君に背中を向けて目を瞑った。
「花奏さん?」
カカシ君の言葉に無視して
ギュッと目をつぶる。
「手なら良いですよ……。」
ガバっと振り返り、優しい少年に、ギュッと抱きしめ、ひっついて額にキスをしちゃった。そんな事をされるとは思わなかったのだろう、慌てて騒ぎ出すカカシ君。
「手ぇ!手って言ったのに!!違うから、もう…花奏さん、ダメだって。」
ほっぺにもチュッとして、ニコニコの私はムギュっと
ひっついたまんま寝た。
目を閉じ、意識が薄れていく時、小さなカカシ君のため息と声が聞こえて、そこで意識がなくなって眠りについた。
「……オレは弟じゃないよ、花奏さん……」