第18章 もっとたくさん
ぴぴっという音で目が覚める。
何かのタイマーが鳴ったらしい。
先生が止めに来てくれた。
「これで一週間は乗りきれるとは思うけど、終わったら一応また来なさい。
あと鉄剤…、ま、効くかはわからないけどね。
特殊な身体してるからねぇ」
「……はい、ありがとうございます…」
「気分が沈むよね、そういう期間だから」
「……はい」
真っ暗な廊下を渡りながら寮に帰って、部屋の電気を付けた。
「おかえり」
「…っ!!!!せんせい!!!!」
「声がでかい」
「あ……」
真っ暗で真っ黒な服を認識出来なかった。
明るくなってやっとその存在を確認した。
「先生……」
「目が赤いな…」
「み、見ないで…」
心配するふりも、きっと私に同情してるから。
つい、それを否定してしまう。
「上手く抜け出せなくて、悪かった。
リカバリーガールからは聞いていた」
「いいんです…、先生、忙しいし…」
本当は嬉しいはずなのに、この前のことが頭から離れなくて、今先生がここにいるのが凄く嫌。
「先生…今日はもう、寝るので……」
「そうか」
ほら、きっと、心配なんてしてない。
「すみません」
「いや」
そのまま出ていこうとするのが悔しい。
唇をきゅっと噛む。
私も、引き止めたいのに、引き止められない。
だって、そんなの、迷惑。
きっと、迷惑なんだ。