第15章 ちょっとこわい
可愛い赤い箱が手元で揺れる。
クリスマス風の飾りはなんでこうも可愛いのだろうか。
他の国のお祭りだけど、こんな可愛いのが沢山あるなら、もっと盛り上がって欲しい。
寮の近くまで来たところで、先生は、
「じゃ」
と軽く別れの挨拶をした。
それは当然の流れなんだけど、受け入れられなくて、先生の顔じっと見る。
間をおいて首を傾げて、
「やっぱり?」
と聞いてくる。
「一緒に、食べたいです…」
先生は短く白い息を吐くと、しょーがない、と言ってくれる。
「糖分の消化はエネルギー使うからそのあとダルくなるのがなぁ」
「ちょっとだけでいいですから! 」
いつもみたいな補習もなければ、そういう雰囲気でもなかったのに、流されるようにそうなっていて。
きんきんに冷えた足先すら今は熱い。
上からの体重が柔らかく下りてきて、
私のお腹の奥にじくじくとした疼きを与える。
またぱらぱらと降る雪が音を消しているかのように静かで、もっと賑やかだと思ってたから…、意外だった。