第15章 ちょっとこわい
校長先生が迎えに来てくれて、最初に言ってくれた言葉が嬉しかった。
「皆、君の帰りを待ってるよ」
真っ白な雪に立っていた真っ黒な先生は、とても綺麗だった。
「デートって、何着たらいいの?」
「ちゃんデートするの!?」
「すげー!大人だー!!」
談話室で他の子に何気なく詮索をいれてみたが、反応が面白いだけだった。
「ドレス!ドレス着よう!」
「気合い入りすぎてても相手が引いちゃうわよ」
「お相手はどなたなんですの!?」
そこは聞かれるとまずい、と思って、なんとか適当な人物をでっちあげる。
「付き合ってはいないんだけどちょっといいなと思ってる人で、ちょっと年上のお兄さんみたいなでも時々かっこいいんだけどほとんど何考えてるかわからないし本当、なんでもないの!!」
「……」
「イイ!!そういう話が聞きたかったっ!!!」
「お茶の準備を」
「逆に!!?」
予想外の反応をされて凄く戸惑ってしまう。
(違う!そーじゃない…!)
ぐいぐいと来られる質問の嵐に、更に適当にでっち上げた設定がもりもりプラスされていき、皆はかっこいいと言っている人物は完全に中学生の書いた小説の強い主人公だった。
「何着よう……」
お金もないから、特に買えるわけでもない。
先生に貰った服を組み合わせて、なるべく、変じゃない感じにしようと努めた。
(結構、無理あるな…)