第12章 内緒にしておこう
「でも、その…、私、友達いないから、一人で回ることになりそうなんです…」
「……」
「先生は、何時からならちょっと空いてるとか、ありますか…?」
非常に弁えてる聞き方なように思える。
こちらが忙しいのは承知の上で、柔らかく質問してくる。
「一時間くらいなら、一人で巡回している」
「ほ、ほんとですか!?」
「まだ詳細は出ていないがな」
「…5分で、いいですから…!
だから、少しだけ…」
「教師を誘惑するとは、悪い生徒だな」
彼女に口付けたのは、何日ぶりだろうか。
あまり感情に流されてはいけないと、どこか自制をかけていた節がある。
それは無意識なのか、それとも自覚があったのか。
深くは考えないようにしたい。