第7章 しんどすぎる
先生は夜遅くに帰ると、すぐにパソコンに向かう。
私は、袋の中のおにぎりをゆっくりと食べて、その後ろ姿を見ていた。
つまらない、かもしれない。
普通の人から見たら、なんら変哲のない時間。
でも、私にとっては、そうではなくて、幸せな一時だった。
少なくとも、今までよりかは。
その今まですら、今はわからないのだけれども。
先生はあの時以来、私になにもしてこない。
私が相当怖がっていたと思っているんだろう。
そんなこと、ないんだけど。
「悪い…、これ終わったら、相手してやるから」
「…あ、いえ」
いつもの袋ゼリーをじゅるじゅると啜って、一瞬だけ困ったように笑ってくれた。
そんなつもりはなかったんだけど、私は愛想笑いだけ返して食べた物のゴミを片付けた。
結局その日も、同じベッドには入ったはずなのに、何もなかった。
ふと、気付いたんだけど。
(私、何かされたいって思ってんのかな…)
そうしたら、とんでもなく、変な娘なんじゃないかな、と思い始めてしまった。
興味がないわけじゃないけど、それ以前に、自分のイヤな一面を見てしまったようで、恥ずかしくて死にたくなる。
(気付かなかったことにしよ…!!)
そう思って、シーツに顔を埋めた。
熱くなった顔はなかなかおさまらない。
どうにか違うことを考えようと頭を回転させた。
でも、すぐ近くの存在感に圧倒されて、また思い出す。
「……」
何日か、眠れない日が続きそうだ……。