第51章 【飯田編】吸血鬼
先生を怒らせたのは数日前だった。
貰った携帯に大分個人的な写真が貯まってきた。
髪を結ってる先生や二人で遊びに行ってるところや、ちょっと人には見せられないようなモノとか……。
「女子は好きだな、写真」
「楽しいですよ、すごく」
丁度その時、宿題でアンケートの取り合いをしていて、何人かと連絡先を交換していた。
よく通知が来ていて、尚且つ遊びに行こうかなんていう話題も出ていた。
「これ…」
「あ…」
「行くのか?」
「生徒のプライベート見るなんてやらしーですよ!」
返信を迷ってる最中に取り上げられ、思わずムッとして言い返してしまう。
勿論断る予定だったのに。
先生は少しだけ眉間を狭めると、私の背中に体重を重ねた。
「質問に答えろ」
「先生が断って欲しいならそうしますぅ~」
可愛いげのない返事をして、私は携帯を取り返した。
「そういうことの為に渡したモノじゃねえだろ」
「…っ、普段はそうです、けど」
後ろから羽交い締めにされ、ますます重さが重なっていく。
「なぁ」
振り向かされると思って枕に慌てて伏せる。
「そのつもりなら」
「きゃっ!!!」
ガリ、という音と共に鋭い痛みが走る。
「!?」
痛みと一緒に、なにか、ぞわりとしたものが背中に走る。