第50章 【番外編】忍び忍ばず
が、その日も昼間は会えず、下校時間になった。
校内を探したが見当たらない。
何かあったのか。
急に不安になる。
かれこれ5日は声を聞いていない。
最後の思い当たる場所とそこの教室の戸を開けた。
やっと、彼女をそこで見つける。
図書室の片隅。
「!!!!」
身体が動くのが先か、気づかれるのが先か、彼女を後ろから羽交い締めにする。
「せっ…!!」
驚いて声を上げるのは無理がない。
静寂が打ち破られそうになり、咄嗟に口を手で覆った。
は察したのか、トンと一度手を叩くと、離すように合図した。
「先生、どうしたんですか?」
自分にだけ聞こえるように小声で話す。
「どうした?どうしただと?」
「え……?怒ってます…?」
不安そうに見上げてくるその顔を、見ないように唇を己のそれで塞ぐ。
「!!
ん、ゃ…ん、ふ……っ」
早急に舌を絡め、あっという間に深く求めていく。
静かすぎる空間で、他の生徒の足音と、小声で話す声が僅かに響き、そこに更に淫靡な水音を加えていく。
声を抑え、苦しそうには顔を歪めた。
顔を離してやると銀糸が途切れる。
「せ、んせ…」
「どれだけ探したと思ってる?」
「探してた…?先生が…?」
「……」
言われてみれば今まで突き放したことはあれど、探したことなんてなかった。
それは二人でいる時間を大切にしていたからわかってくれると思っていた。
「どうしよ、うれしい……」
後ろから自分より大きい男に羽交い締めにされ、動けないようにされているというのに、は顔を赤らめ、うっとりとした表情をした。
最初に会おうと思った時の、情欲。
監視カメラの死角でよかった、と今更確認しながら思う。
「せんせぃ…その、お部屋に…」
最後までその言葉を言わせず、再び舌を捩じ込む。
「んんっ!ん、ふ、せ、んせ……っは……」
大の大人が、思春期でもないのに。