第47章 【番外編】計画通りなフルーツ盛り
そして運ばれてきたワゴンには、私の目線の高さくらいまで盛られた綺麗なカットフルーツが並ぶ。
林檎は白鳥みたいだった。
ところどころにキラキラと光るゼリー、マスクメロンの皮を使った器もお洒落すぎる。
ついていた炭酸水をグラスに注いでもらい、高級そうなふかふかのソファに座って食べた。
「…っ!!!」
「嬉しそうに食うな」
「お、おいしい……」
「俺の安月給じゃ滅多に食えないからな。
しっかり味わえよ」
先生は薄く笑いながら横に座り、いくつかオレンジとブドウを摘まんで食べていた。
うまい、と言いながらも柱にある時計をちらちらと見ている。
「あ…、何時まで、いられますか?」
夜の見回りに先生方の会議、なかなか時間はないだろう。
寂しいけれど仕方ない、と自分に言い聞かせる。
「あと数時間は大丈夫だ」
「ほんと…?」
「ああ」
「嬉しい…!
皆違うお部屋だし、私だけここで寂しいです…」
「そうだな」
「塔で一人ぼっちのお姫様の童話を知ってますか?」
「聞いたことはあるな」
「あれに似てるなって。
唯一王子様だけ、時々会いに来てくれるんですよ」
一瞬だけ照れたような、呆れたような顔をされる。
「そんな綺麗なもんじゃねえだろ」
「…?」
「もっと、人を襲うケモノだと」
「せっ……」
いつものちょっと怖い先生が笑う。
なのに、私は、ゾクゾクと、期待している。