第47章 【番外編】計画通りなフルーツ盛り
せっかくの旅行だというのに、全く頭が働いていない。
気付いたら、そのすいーとるーむとやらに通されていた。
地上から60階、下に広がる麗しい夜景、天蓋つきのベッド、豪華なシャンデリア……。
「誰が多目に払ってくれたんだろ……」
そこを考えると、胃の痛みが止まらなかった。
他の子たちは、夜中に誰の部屋に行くなどで盛り上がっていた。
泣くほど羨ましい。
階も違うし、恐らく棟も違う。
抜け出していくのは難しいだろう。
完全に孤独だった。
この部屋のせいで、旅行に対する楽しみ云々とかは一切なく、ただ怖いのと胃が痛いのと、寂しいのとでいっぱいだった。
お風呂を終えて荷物を整理していると、呼び出し鈴が鳴る。
誰かこっそり来てくれたのかもしれない!
ワクワクと戸を開けると、案の定の真っ黒なその人だった。
「ああ、先生…」
「何故がっかりした」
「ぁ、すみません……」
「そんなに嫌だったか?
大人は泊まりたくても泊まれないんだぞ」
「代わってさしあげたいくらいです……」
先生は広い部屋を見渡してから、大きなベッドに腰を掛けた。
「寝袋と雲泥の差だな」
「一緒にしちゃダメですよ」
なんて失礼な物言いだと、くすくす笑ってしまう。
「そうだ、ルームサービスが一つだけ無料らしい。
勿体無いからなんか頼もうぜ」
「へえ……」
「閑散期だからな、客寄せ用だろう」
「なんかいっぱいある…どれもおいしそうですね…」
お酒から食事、デザートまでずらりと並んだメニューを先生の後ろからのぞきこんだ。
写真つきの物はどれも美味しそうで目を奪われる。
「あ……マスクメロン……」
「ああ、フルーツ盛りに入ってるのか」
「食べてみたいです…!」