第5章 胸糞悪い
首の痕をもう一度なぞり、考えながら柔らかな髪に指を通した。
頭を支える七つの背骨をなぞり、そこに沿って大きな縫い目が少なくとも二つ。
そこも乱雑な出来だ。
唇を少し舐め、開かせた。
そこも至って、普通だ。
ふつふつと沸き上がる背徳感に流されそうだ。
「…っ、や…っ」
震えて小声で否定の言葉が聞こえる。
汗腺も涙腺も、粘膜刺激もわかっている。
それは、ヒトそのものだ。
興味か好意か、それかまた違うものかわからないままだ。
離して銀糸がぷつりと切れるのを待った。
「なんだ?」
一瞬躊躇したように表情を歪ませる。
不良品のビー玉のように、それは光を屈折させるよう。
「いえ……」
その行為はあまりにも、官能的とは言えないものだった。
彼女に他に縫い目がないか、その膨らみは本物か、一つ一つ動作確認に最早近かった。
それでも、緩やかな快感を感じている彼女に、なんとも言えぬ気持ちが込み上げてくる。
「…っ、はっ…」
声を圧し殺し、吐息だけが時々部屋に木霊する。
やがて下に到達した手が、その未発達な割れ目に触れる。