第5章 胸糞悪い
推測するに、一度殺された人間を無個性化させ、あそこで販売してたのではないか?
それか、個性が発動する肉体を、発動しないよう組み合わせて。
どちらにしろ、なんという胸糞悪さだろうか。
先の脳無にしろなんにしろ、変わらないと言ってもいい。
ただただ、胸糞悪い。
彼女に偏見が生まれたわけでも、引いたわけでもない。
好奇心は、変わらない。
「どう、しました?」
さらさらとした声が静寂を破った。
「どこまで知ってるのか、興味がある」
「……ど…っ」
彼女の質問を遮り、ゆっくり、真っ白なベッドに倒した。
年端もいってない未発達な身体。
そんなもの、知らないにきっと等しい。
(給料一月分の女を買う、文字通りに)
不敵な笑いが思わず漏れた。
「…っ!!」
ぞくっと、彼女の強ばる顔が見てとれる。
生活にほとんどの支障がないことを察するに、彼女の記憶は抜き取られている状態に近いだろう。
教えればその通りに出来る、ある程度の常識や言葉は理解している。