第37章 【番外編】間
少し暗くなるのが早い季節。
街灯があってもどこか心許ない。
それでも、どこか油断してしまっていて。
「轟く…」
と声を掛けようとした瞬間に、コンビニの袋を置いて私の身体は宙に浮いた。
「!」
すぐ近くのお店の爆風だった。
中から身体の大きな敵が一人。
声すら出なくて、背中を強く打ってしまったらしく、力が入らない。
立ち上がれないでいると、向かってくるその巨体にぎゅっと目を瞑るしかなかった。
何されるだろうかと全身が震える。
身構えた瞬間、轟くんの冷気が頬を掠める。
驚いた男の人の声がする。
「、立てるか?」
「ご、ごめん、腰か背中打っちゃって、立てない…」
小声で答え、轟くんはわかったと返事した。
その場でまたひんやりとした空気が漂う。
地面が一気に凍り、つららのような物が敵を攻撃する。
怖くてしっかり記憶に残らなかったけど、他の先生が私達を見つけるまで、轟くんは耐えてくれた。
とても怒られていたけど、立てない私がいたことを話し、なんとか罰を逃れられた。
学校に着いて保健室に寄り、身体を診てもらう。
打ち身をしているくらいで特に異常はなかった。
変に衝撃が入ったせいで腰が抜けた感じになってしまったらしい。
「頬に傷があるね、女の子なのに」
リカバリーガールにラムネを渡されながら鏡を見せられた。
「このくらいなら…」
一応消毒をしてもらい、厚手のガーゼの絆創膏を付けてもらう。
最後に、グミを手渡され、保健室を出た。
「ごめん」
待っててくれた轟くんが謝ってくれたけど、轟くんのせいじゃない。
「轟くんの謝ることじゃないよ」
「先生なら、無傷だったろ?」
「……比べることじゃないよ」
どうして比較したのかよくわからないけど、轟くんは困ったように少し笑った。