第4章 興味本位
そのままの格好で出させるのは些かまずいため、髪をまとめ、昔使っていた真っ黒なキャップを被せ、目立たない服を着るように命じた。
せっかく買った服がやっと役に立ったようだ。
「………」
己のセンスのなさにはがっかりであるが。
「もう少し可愛いのを買ってもよかったな…」
近所のスーパーの衣料ではこれが限界であったが、それにしても、というところはある。
出で立ちがせっかく整っているのにこれでは台無しだ。
他の関係者にバレないよう、迅速かつ静かに移動し、なんとか駅前まで出る。
難関は突破である。
ついクセで、ぴっと改札を抜けてから彼女が何も所持していないのを思い出した。
電子カードを一通り作り、ごった返すホームに登った。
そういえば人を連れての移動は最近は専らタクシーだった。
電車などを使うのはかなり久々だし、はぐれても不味い。
首輪をするわけにもいかず、半ば諦めるかのようにその真っ白な手を繋いだ。
自分の身なりも弁えておくべきだった。
これでは、本当に、そういう関係にしか見えない。
電車のガラスに反射して映る自分達の姿がなかなか衝撃的だった。