第31章 【轟編】聖域の証明
のその異国情緒な雰囲気には、和室はなんとなく似合わない。
色素の薄い肌と髪だったり、赤みの多い肌だったり。
それはなんとなく、俺の知っている人たちとはかけ離れていた。
怖がるその娘のスカーフを外すと、赤い痕の他に、首を一周回る傷。
特殊な身体というのも納得がいく。
いい年の大人でもこういうことをしたがるのだな、なんて、思った。
目隠しするかのようにスカーフを結び、その流れる涙を凌ぐ。
そのぐらい、本能があれを見るのを拒否していた。
「と、どろき…く…」
「なんだ?」
「お願い…、やめて…?」
は弱々しくそう言うが、先刻の脅しが効いているのかそれ以上の反抗は見られなかった。
「いつも先生とどうしてるんだ?
はどういう風に啼くんだ?」
首の痕をゆっくり指で撫でながら、ふと浮かんだ疑問をぶつけていく。
目元を隠していてもわかるくらい顔が赤い。
「やだ…!」
「先生が、遊びだったらどうするんだ?」
傷つくといけないと、今まで秘めていた疑問。
は、一瞬だけ息を詰め、はっとしたような反応をする。
内心、それはありえないだろうと。
それは、あの、保健室での異様なまでの二人の雰囲気を見ていればすぐにわかる。
「轟くん……どうしよう……?」