第1章 はじまり
『(まぁ、テヒョンさん凄いです!)』
テヒョン「えへへ〜」ニコッ
『(あ…私ったらテヒョンさんを
座らせもしないでドアの前でお喋りを……)』
テヒョンには言いたい事を紙に書かなくても
くちパクだけで通じるので、声が出ないことへの
不満も減りつつあった
テヒョン「?…いいよ、そんなの。
これから俺の部屋に行こう!さ、お手をどうぞ」
がテヒョンの手をとると歩き始めるが
鎮痛剤が切れたのか、あの硝子の破片を素足で踏むような痛みが襲ってきた。
鎮痛剤のお陰で一人で部屋まで帰ることが出来た
その薬の効果が切れると、こんなにも痛いなんて
は思わなかったのだ
テヒョン「どうしたの!? どっか痛いの?」
急に動かなくなったを心配する
テヒョンは「大丈夫?」と声を掛けた
『(足が…)』
テヒョン「じゃあ、抱っこしてあげる」ニコッ
『(でも…テヒョンさんに迷惑が…)』
テヒョン「んー…あ!俺に迷惑かけたって事でさ
一つ、俺の言うこと何でも聞いてくれる?」
『(私に出来ることなら!)』
喜んで、と頷くにテヒョンは甘い表情を
しながら見つめていた
膝の裏と背中に腕を回し、ひょいっと持ち上げた
『(この距離、落ち着きます)』ニコッ
テヒョン「…(あぁ、可愛い。)」ニコッ
ドアを閉め、赤絨毯の長い廊下を歩き始めた
テヒョン「ここを左に曲がって、直進して、
この群青色のドアが見えたら右に曲がるんだ!
説明、分かった?」
テヒョンは自分の部屋の道案内をすると
片手でドアを開けて、カチャン…と鍵を掛けた。
その音での鼓動は速度を上げていた。
広い大きなベッドにゆっくりを降ろした
近付いて、顔の横に手をつくと
ギシッとベッドのスプリングが沈む
テヒョン「……ねぇ、ちゃん」
テヒョンは妖艶な瞳をして問いかけた。
まるで獲物を狙うかのように、その瞳は
美しくギラギラとしていた
『(?)』
テヒョン「俺の言うこと聞いてくれる?」
『(もちろんです!…あ、でも
私に出来ることなら!)』
テヒョン「…出来るよ」