第7章 HERO
障子は黙々と技を繰り出していた
ひと段落着いた
タイミングを見計らってユキは
障子の方へ近寄った
頑張ってるね障子くんと声をかけると
ユキの方へ体を向けて礼をする
こういう子を硬派っていうのかな
なんて思いながら 調子はどう?と聞く
障子「いい方です」
「そっか!あのさ……
ずっと思ってたんだけど…」
障子「?」
急にモジモジしだすユキに
障子は具合が悪いのかと手を上下に動かして
わかりやすく動揺していた
「背中……
背中に乗ってみたいなあ……
なんて思ったりしちゃって」
あはははははと顔を赤らめて笑う
先生は やっぱり先生って感じがしなくて…
障子「…いいですよ
手を出してください。」
大胆だろうか。先生が乗りやすいように
立膝をついて手を差し出す。
先生は嬉しそうな顔をして
俺の手を握った。
背中に包み込んだ先生は
あたたかくて柔らかかった
力をいれたら潰れてしまいそうで…
少しほんの少しだけ抱き締めている
そんな感覚に陥った
「すごーい!見える景色が全く違うよ!
ありがとう障子くん!
君はいいヒーローになるよ!」
ありがとうねと手を振りながら
他の生徒への指導に入る先生
なんだか胸がザワつくのは何故だろう。
切島「先生ー!見失先生!」
誰を見に行こうか歩いていたら前方の方から
私を呼ぶ声がした
ブンブン犬みたいに手を振る切島くん
無邪気で可愛いと顔がゆるむ
俺が呼ぶと駆け足でくる先生
その姿はまるで
小動物かよ…
ボソッと声に出した俺は
近くにいた瀬呂に何が?と聞いてくる
切島「別になんでもねえーよ!」
「瀬呂くんもいるねー!
一気に二人見ちゃおうかな」
瀬呂が肘からテープを自由自在に操る
「なんかあれみたい!瀬呂くん!あれだよ!
あの……スパ○イダーマン!」
瀬呂切島「それ隠れてないじゃん/っスよ!」