第2章 水色~黒子~
僕と△△さんは同じ図書委員で、そして同じバスケ部です。
でも、教室では席が離れているせいもありますが、元々が饒舌でない僕は△△さん相手に限らず、あまりたくさん話すということがありません。
なので、教室で△△さんとの会話がほとんどなくても、それは別におかしいことではないはず…なんですが。
それでも△△さんの様子がいつもとは違う気がすると、僕は感じてしまいます。
時々、僕の方を見ていたような気がするのに、そのすぐ後には、仲の良い友達と楽しそうに話していて。
だけど、話しているその様子も…何だか無理にはしゃいでいるような、そんな風に見えてしまうのは、僕の気のせいでしょうか。
休み時間になるたびに、いっそこちらから話し掛けてみようかとも思いましたが、今日の△△さんはいつになく友達の傍にいて、上手くタイミングが掴めません。
だからといって、友達と話しているところに強引に割り込むのも躊躇われました。
そうして、どうにも突破口を見つけられず、ただ漠然と、△△さんの様子がいつもと…というより、昨日までと変わっているような気がするまま、僕は時間を過ごすしかありませんでした。
(でも、昼休みになれば……)
そうすれば、今日は昼の図書当番の日です。
一緒に当番に行けば、△△さんとも話すことができます。
そうすれば、この違和感の理由も、何か分かるかもしれません。
そう思っていた僕でしたが、昼休みになると同時に、火神くん共々、カントクから召集を受けてしまいました。
(どうしてよりによって今日なんですか、カントク)
WC予選も近づき、僕も含めて昼休みにも練習をするメンバーが増えてきたことについて、カントクから練習メニューの説明があるのかも…と火神くんと話しながら向かったそこには、対戦チーム対策の資料やDVDが詰め込まれたダンボールが積み上げられていました。
「カントク、これは?」
呼び出されたのは、全員がバスケ部の一年生。
そして、目の前にはたくさんのダンボール。
聞かなくても、何となく理解できた気がしました。