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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


-黒子side-


何となく違和感を覚えたのは、△△さんが教室に入ってすぐのことでした。

朝練から戻った僕は、いつものように本を読んでいましたが、廊下から聞こえる声の中に△△さんの声があることに気づいて、顔を上げました。

「おはようございます、△△さん。大丈夫ですか?」

そう言った僕に、△△さんは一瞬、固まったように見えました。
それから、ちょっと視線を彷徨わせるようにして。

「あ、お、おはよう!」

返ってきた反応も、いつもの△△さんとは何処か違っているような気がします。

石嶺さんのこともありますが、まだ体調が戻っていないのかもしれない。
もしかして、無理をしているのではないかと、気になって。

「△△さん?」

席を立って近づく僕に、でも△△さんは『平気』だとか、『今日は部活にも出れるから』とか。

そんな風に言いながら、何だか落ち着きがありません。
それだけでも僕の目には、とても『平気』には見えません。
だから心配で堪らないのに、

「△△さ……」

そう僕が呼び掛けようとする、それより早く、火神くんが△△さんの頭に手を乗せて、彼女をいじり出しました。

彼なりに△△さんを心配しているのは、僕も知っています。
最近では火神くんも、△△さんと普通に話すようになって、それはとても良いことだと思っています。
でも、目の前の火神くん(が△△さんを弄っている様子)を見ていたら、何だか。

「もう、パンくず飛ばさないでよー!」
「んだよ、お前も腹減ってんのか?」
「ちーがーうー!」

ちょっとイラっとしました。
もちろん、火神くんにです。

なので…というわけではないですが。
△△さんを一頻り弄った火神くんが席に戻ろうとする、その膝をちょっとだけ。

かくんっ!

「ぅおっ!?」

膝が崩れた拍子にパンを落としてしまった火神くんは、絶叫しました。

「あ゛ー!くそ、誰だ!って、黒子、てめー!」
「すみません。ぶつかってしまいました」

あっさりそう返した僕に火神くんは、

「くそっ、食いたりねー!」

まだ食欲が満たされないのか、更に追加する気満々の火神くんは、そのすぐ後には教室から消えていました。
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