第2章 水色~黒子~
昨日の…体育館のことは、また別の問題だし、美由のこととは全然次元が違うけど、私の気持ちがぐちゃぐちゃになるって意味では、共通してるかもしれない。
美由だけでいっぱいだったところに、もう一つ増えたら。
これ以上ないくらいに膨らんでたぐちゃぐちゃが、もっと膨らんだら、後はもう、破裂しちゃうしかない。
コップいっぱいの水に、もっと注いだら…溢れるのが当たり前みたいに。
今の私も…きっと、それと同じ。
自棄っていうのとは、ちょっと違うかもしれない。
だけど今は美由を目の前にしても、私は何故か落ち着いていた。
自分でもよく分からないけど。
何ていうのかな。
開き直っちゃったみたいな、そんな感じ……。
頭の中はぐちゃぐちゃなのに、何だか妙に醒めてもいて、もうどうにでもなれって思う。
あれ、そうするとやっぱりこれって自棄になってるのかな。
本当、自分のことなのに、よく分かんない。
だけど、目の前の美由を、もう何とも思わなくなってることだけは確かだった。
「中学の時と違って、ここにはお仲間はいないみたいじゃん?それでもしつこく来るってすごいよね。今度は何?いじめ?嫌がらせ?それともホントにストーカー?どっちにしても高校まで来て、バッカじゃないの」
自分でもびっくりするくらいの毒を吐いた私に、美由は私から目を反らして俯いた。
これじゃ、まるで私がいじめてるみたいだ。
「もうじき昼休み終わるんだけど」
すごくイライラする。
自分でも声が荒くなってるのが分かるけど、どうにもできない。
「○○」
そんな私に、美由は小さな声で私の名前を口にした。
でも今の私はもう、彼女に名前を呼ばれることすら、嫌だった。
「馴れ馴れしくしないでくんない?それとも小学校の頃、なかなか友達ができない私に『友達になってあげる』って言った自分は、今でも『オトモダチ』してあげてるとか思ってんの?」
「ちが……っ」
「うるさいっ!」
私は…爆発した。
昨日までみたいな美由の台詞なんか、もう一言だって聞きたくない。