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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


今日は昼休みの図書当番の日。
放課後より時間も短いし、お昼を食べてから来る人が多いから、昼の図書当番は、結構楽だったりする。

私は売店で買ったパンを食べながら、一人でカウンター席に座っていた。
途中、何人か来たけど、やっぱりそれほど利用者はいないみたい。
黒子くんも来ないみたいだし……。

一息吐いて、私は軽く伸びをした。
その時……。

「美由……」

やって来た人影に、ああ、やっぱり…と、私は思った。
黒子くんのことで、ぐるぐるしてた私だけど、美由のことを忘れてたわけじゃない。

今日の昼休み、私が図書当番だってことは、ちょっと調べればすぐに分かるだろうし、もしかしたら…って思ってたら、やっぱり来た。

「教室だと来づらいから、作戦変えたわけ?」

昨日、美由は私の友達に一喝される形で退散した。
でもそれで終わるなんて、私も思ってなかった。

美由の存在は嫌なことを思い出させてくれるばっかりだし、今度は何する気なんだって、どうしても構えちゃうし、口も悪くなる…っていうのは、ちょっと言い訳かな。

中学の頃、いわゆる非行に走るってことはなかったけど、いじめとか嫌がらせとかされてた中で、私の気持ちも結構荒んじゃって、何となく言葉遣いが悪くなった時期があった。

それも段々元に戻ったけど、一度使った言葉って、何かの拍子にやっぱり出ちゃうらしい。
特に…あの頃のいじめの当事者が目の前に来たりしたら、尚更。

タイミングが良いのか悪いのか、他に図書室の利用者もいなくなった今、美由はカウンターを挟んで私の前に立つ。

今までだったら、それだけで気分が悪くなりそうだった(昨日は実際気持ち悪くなったし)。

それなのに、美由は毎日のように私の前に現れた。
それだけで本当はもう、私はどうにかなりそうだった。

必死で平気そうに振る舞って、何でもなさそうに見せようとして。
でも上手くいかなくて。

もういっぱいいっぱいで、どうしたら美由から逃げられるのか、そればっかり考えてた。
本当に、そのことだけで私は目一杯だった。
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