第2章 水色~黒子~
元々、黒子くん自身たくさん喋るタイプじゃないし、私とも、そんなにしょっちゅう喋ってたわけでもない(図書当番とか部活では割と喋ってるかもだけど)。
だから別に、黒子くんを避けてるとか、いきなり話しかけなくなった…って風には、誰にも見えないはず。
要は、
(露骨じゃなければ大丈夫…だよね)
私がただ、自分で勝手に黒子くんを意識しちゃわないように、他の子と喋ることで気を散らしているというか…そんな感じ。
それでも…つい、黒子くんが気になっちゃったりする自分がいたりするんだけど。
(気にしない、気にしない)
そもそも黒子くんは存在感が薄くて、そこにいるのを忘れられちゃうことがある。
そういう私も、いつの間にか黒子くんが傍に来てたのに最初の頃は全然気がつかなくて、びっくりしたことが何度もあった。
けど、何でかな。
今は、黒子くんをちゃんと見つけられちゃう。
そういえば、バスケ部に入った頃には、そうだった気がする。
席にいなくても、普通に黒子くんの姿が視界に入ってくる。
何で?
何でかな?
やっぱり私が意識しちゃってるってことなのかな。
そのせい…なのかな。
(いやいやいやいや)
だから変に意識しちゃ駄目だし。
バスケ部に入ってすぐの時は、別に意識なんてしてなかったし(多分)。
とにかく今日は、これで乗り切るんだから。
心の中で否定して、私は午前の授業が終わると同時に席を立った。
「じゃ、行って来るね」
それだけで、いつも一緒にお昼してる友達には通じる。
「そっか。今日は昼当番だっけ」
「いってらっしゃーい」
「あれ? 黒子くん、声掛けなくて良いの?」
同じ委員の彼の名前を出されて私は、どきっとした…けど。
見たら黒子くんは席にいなくて、私はちょっとだけ、ほっとした。
「いないみたいだし。私だけでも大丈夫だよ」
WC予選が近いせいか、最近は昼休みも練習してる部員もいる。
席にいないってことは、黒子くんもそうなのかもしれない。
黒子くんの姿が見えないと、ちょっとがっかりする私がいる。
でも反面、ほっとしてる私もいて。
何してるのかな、私……。
「はぁ……」
私は溜息を吐きながら図書室に向かった。