第2章 水色~黒子~
だって、これは私の問題だから……。
「わっ!?」
いきなり何かが頭に降って着てきた…と思ったら、火神くんの手だった。
「ちょっ…」
人が色々考えてんのに、何なの、この人!
「何ヘンな顔してやがんだ。まだ調子悪いのかよ」
「え、や…これは…」
って、一瞬まともに反応しちゃった私だけど。
『変な顔』だから具合悪そうって。
それ、どういう意味?
それに…それより、朝練でお腹空いてんのは分かるけど、もしゃもしゃ食べながら喋んないでってば!
「ちょっと! パン零れてるから!」
「ん? お、やべ、もったいねー」
私に言われて気がついた火神くんは、パンが落ちないように袋を持ち直した…んだけど、私が言いたいのはそこじゃなくて。
大体、反応すんのってそこなの?
「もう、パンくず飛ばさないでよー!」
「んだよ、お前も腹減ってんのか?」
「ちーがーうー!」
そういえば最近は火神くんとも、こんな風に普通に喋れるようになったけど、火神くんが相手だと、何かいつもこんな感じになっちゃう。
本当、黒子くんとは正反対……。
そう思いかけながら、私はふと、いつの間にか黒子くんを意識しないで喋れてる自分に気がついた。
火神くんがいきなり攻撃(?)してきたから、そっちに意識がいっちゃったせいといえば、そうなんだけど。
(そっか……)
私は、ちょっと発見した気分になった。
当たり前のことだけど、他の人とは普通に喋れるわけだから……。
私は友達といつもよりいっぱい喋ったりすることで、黒子くんから意識を反らす作戦に出た。