第2章 水色~黒子~
私は、思わずそのまま帰りたくなったけど、伊月先輩に見つかってしまった。
「あれ、△△? 今日は休みじゃなかったのか?」
「あ、あの、これ、二号にあげてください」
「え…良いけどって…おい、△△?」
私は伊月先輩にお菓子を押し付けるだけで精一杯で、それから後は逃げるみたいに校門に戻った。
待っててくれた友達は、それから何も喋らない私を心配そうにしてくれながら、家まで送ってくれた。
(迷惑かけちゃった……)
部活のみんなにも、友達にも……。
そうは思うけど、頭も気持ちもぐちゃぐちゃして、何も考えたくなくなる。
だけど…ずっとこうしてるわけにもいかない。
(行きたくないけど……)
今日は、学校に行きたくない。
だけど……。
もう熱も下がったし、身体も何ともない。
部活も今日はちゃんと出なきゃ、本当に迷惑になっちゃう。
(とにかく、行かなきゃ…だよね)
私はのろのろ支度すると、学校に行くために家を出た。
行きたくない。
学校に着きたくない。
それなのに、当たり前だけど、私はいつも通りに学校に到着。
行くのが嫌だと思ってたせいか、いつもより早く着いてしまったような、そんな錯覚まで感じる。
靴を履き替えながら、私は深呼吸した。
(普通にしなくちゃ)
美由のことだってあるのに。
だけど今は、昨日のことの方が頭の中でぐるぐるしてるって、どうなの、私……。
昨日まで普通に喋ったりしてたくせに、昨日見た『あれ』だけで、何勝手にショック受けたみたいになってるのかな、私。
こんなの、おかしい。
私…変だよ。
胸が苦しいのだって、きっと…絶対、気のせいだ。
こんなの…違う。
私は自分に言い聞かせた。
私は何も変わってない。
何も……。
それなのに、頭の中に黒子くんが浮かぶのは、どうしてなんだろう?