第2章 水色~黒子~
-○○side-
目が覚めたら、涙が零れてた。
頭がぼんやりして、自分の状況が一瞬、思い出せなかったけど。
「あ…そっか……」
思い出したら…昨日のことが一気に頭に浮かんだ。
(胸が…痛い……)
ぎゅうっ、て締めつけられるみたいに痛くて…苦しい。
何でこんななのか分からない。
ううん、違う。
本当は分かってるけど…でも……。
(違う…そんなんじゃないもんっ)
考えたくなくて、私はその場に突っ伏した。
昨日、学校で体調を崩した私は部活を休んで、保健室からそのまま家に帰るはずだった。
午後の授業も丸々保健室で寝てた私は、もう大丈夫だし、部活も出れるって言い張ったけど、『まだ顔色が悪いから駄目』とか『無理は禁止』とか、友達にも、それから黒子くんと火神くんにまでそんなことを山ほど言われて。
私は結局、友達に付き添ってもらいながら、家に帰ることになった。
あの時、そのまま真っ直ぐ帰ってれば、良かった。
そうすれば良かったって、今はすごく思う…のに。
校門を出てすぐ、私は思い出してしまった。
それはペットショップで見つけた、小さくて食べやすいサイズの、子犬用クッキー。
今度持ってくるからね、って二号に言ったそれを、私は昨日、鞄に入れっぱなしにしていて。
友達はまた今度にすれば、って言ったけど、子犬用の無添加クッキーは日持ちしなから気を付けてくださいねって、店員さんが言ってたのを思い出した。
私は校門のところで友達に待ってもらいながら、一人で体育館に向かうことにした。
二号に直接あげられなくても、部員の誰かにお願いしようって、そう思って。
そして、私は……。
『テツくんの『カ・ノ・ジョ』として会いに来ただけです』
明るく笑いながら黒子くんに抱きつく、女の子を見てしまった。
遠目でも、スタイルが良くて、綺麗な女の子だって分かる。
黒子くんとも、何だかすごくお似合いに…見えた。