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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


「そんな前から…なんだ……。そんなにずっと…って、その子、そんなに…私より、可愛い?」

そんなことを言い出す桃井さんは、まるで駄々を捏ねるようにも見えましたが。

(僕の答えは何も変わらないんです、桃井さん)

「僕にとっては、誰よりも」
「テツ…くん」

即答する僕に、桃井さんは俯いたまま動きませんでした。

「私の方が傍にいたのに。『テツくん』って最初に呼んだのだって、私だったよね」

ぽつぽつと、独り言のように呟く声が聞こえて、僕は目を閉じて…それから、もう一度開きながら、桃井さんに告げました。

「僕を『テツくん』と最初に呼んだ女の子も、彼女です」

自分が一番傍にいた。
自分が最初に『テツくん』と呼んだ。

必死に連ねようとする桃井さんが、何処か痛々しいようにも見えます。
でもその一方では△△さんへの対抗心…というより、敵愾心とも思えるものをちらつかせる彼女に、僕は気づきました。

「彼女は何も悪くありません」

桃井さんが彼女に敵愾心を持つのはお門違いです。
僕は暗にそう言ったつもりでしたが、

「それって、もう私にここに来るなってこと?」

顔を上げた桃井さんの表情が、何処か自棄になっているように見えました。

「そんなことは言ってません。用があれば、いつ来ていただいても構いませんし」
「用…か、テツくんの好きな子がどんな子か、見に来ちゃおうかな」

まだ顔も名前も知らないけど、調べれば分かりそうだし…と呟く桃井さんは、少しだけいつもの調子を取り戻しているようで。
それでいて、何処か意地悪く、僕の出方を窺っているようでした。

そうして。

「案外、大したことなかったりして…ね」

ぽつり、と零れた桃井さんの声に、僕は自分でも驚くほど、低い声で返していました。

「いつでもどうぞ。ただし、僕は彼女を傷つける人を許しません。覚えておいてください」
「……………っ!」

途端、桃井さんは目を見開きました。
傷ついて…でも、それ以上にとても驚いているような、そんな表情で。
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