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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


疑問形で訊ねながら、彼女の中では既に確定している。
でも僕には初めから、誤魔化すつもりなんてありませんでしたから。

「……はい」

一瞬、間を置きながら、それでも僕はしっかり頷きました。
誤解を生む隙もないように、はっきりと。
すると途端に、桃井さんの顔が歪みました。

「ずるいよ。私は中学の時からずっとテツくんを見てたのに。そんな、急に出てきた子なんて……っ」

私の方がずっと傍にいたのに…と、そんな風に声を荒げる桃井さんを初めて見ました。
でも、僕の心は不思議と冷静でした。

「時間の長さは関係ないと思います」
「テツくん……」

長く傍にいたからとか、ずっと見ていたからとか。
そういう時間も確かに大切なものかもしれませんが、だからと言って、時間の長さが優先されるとは限らないと、僕は思います。

でも、桃井さんが『時間』を重視するというなら、その『長さ』が何より勝るというのなら。

「時間の長さは関係ないと僕はそう思っていますが、桃井さんにとって、それが重要だというのなら……」

本当は桃井さんに言うつもりのなかったことを、僕は呼吸を一つ置いて、話し出しました。

「僕が彼女と出会ったのは、小学校の時です」
「小学校?」

目を見開く桃井さんに構わず、僕は続けました。

「その頃はまだ子供で…今のように自覚してはいませんでしたが。その後も同じ中学の中で、偶然姿を見かけると目で追っている自分がいました。そして高校で再会して、自覚しました」

そんなつもりもないのに、△△さんのことを考えながら話していると、何だか自然と心が和らいできます。
いつの間にか、それが表情に出ていたんでしょうか。

桃井さんは一瞬目を瞠って、それから目を反らすように俯きました。

桃井さんと出会ったのは中学校から。

小学校から…というそれは、桃井さんの論理を用いれば『時間の長さ』の上でも、彼女(桃井さんは△△さんを知りません)と僕の時間の方が勝るということになります。

それを悟ったように、桃井さんは俯いたまま制服の裾を握り締めました。
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