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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


でも△△さん。
君は、今のままでも十分に役に立っているし、みんなもそれを認めて…信頼していると、僕は思っています。
その証拠にカントクも…他の人達もみんな、最近の△△さんの変化に気づいていました。
△△さんがここにいたら、伝えてあげたいです。
君のことを、みんながちゃんと見ているし、認めているし、必要としているのだと。

(君は…君が思っている以上に、みんなにとって大切な仲間なんです)

そう伝えたい。
何処かで自分を過小評価している△△さんに、教えてあげたいのに。
そうしたら少しでも、△△さんの心を勇気づけることができるかもしれないのに。

甘いかもしれませんが、そんな風に思う僕の耳に、誰かが駆けてくる音が聞こえました。
△△さんのことを考えていたせいか、音に気づくのが遅れました。

「?」

何だろう、と振り返った時には、その足音はすぐ傍まで来ていて。

「テツくん!」
「……桃井さん?」

いきなり抱きついてきた彼女に、僕は驚いてそのまま立ち尽くしてしまいました。
他校…しかも桐皇バスケ部マネージャーであるはずの彼女は、時々こんな風に突然現れます。
そして、

「この小娘! 何の用よ?」

彼女が突然やって来るたびに(といってもそう頻繁ではありませんが)カントクが目を吊り上げても、桃井さんもいつも平然としています。
そして、それは今日も変わりませんでした。

「良いじゃないですか。近くを通り掛かったら体育館に灯りがついてるのが見えたから、テツくんに会えるかもーって、ちょっと寄ってみただけですよ~」
「何が『ちょっと寄ってみた』よ。桐皇のマネージャーでしょ、あんた!」
「今日は違いますよ~。テツくんの『カ・ノ・ジョ』として会いに来ただけです」

こんなやり取りも、実は初めてではありません。
ですが、いつまでも傍から離れない桃井さんを、僕はそっと引き離しました。

「テツくん?」
「違います」
「え?」

不思議そうな顔をする桃井さんに、僕は…やっぱり初めてではない、既に何度か口にしていることをはっきり言いました。

「僕は、桃井さんの彼氏じゃありません」
「テツく……」
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