第2章 水色~黒子~
そして…今、僕はまだ保健室に居続けています。
時計を見ると、一時間ほど経ったでしょうか。
結局授業をサボってしまいましたが、構いません。
その間も△△さんは一度も目を覚まさないままで、やっぱりそれだけ体調が悪かったのだと思い知らされます。
(すみません、△△さん……)
結果的に、△△さんの過去を勝手に調べるような真似をしてしまいました。
もちろん、吹聴するつもりなんてありませんが……。
「すみません」
今度はちゃんと音にして謝罪した僕は、石嶺さんという、例の彼女のことを考えました。
確かに当時の彼女は、△△さんをいじめる側にいました。
最初は違っていたとしても、結果的に加害者となった『友達』に、△△さんはどんなに傷ついて、もしかしたら絶望したかもしれません。
それでも前を向いて、高校で頑張っていた△△さんに、石嶺さんが近づくのは、どういう意図があるのか。
新たな嫌がらせやいじめをする為…とは、何となく違う気がします。
もちろん、△△さんにしてみれば、彼女の接近そのものが既に嫌がらせになっているでしょうけど。
(石嶺さんの狙いが、分かりません……)
それが、これから一番重要なことなのに。
そうして、そのまま保健室に居続けた僕でしたが、いきなりドアが開いて。
「はあ、疲れ…って、わっ!? こら、君! 隠れてないで、教室に戻りなさい!」
「……え…はい」
別に隠れていたわけじゃありませんが(むしろ普通にしてました)、授業をサボるなと保険医の先生に叱られてしまった僕は、おとなしく保健室を出るしかありませんでした。