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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


佐伯くんの通う高校は友達から聞いて知っていましたし、何より、中学の頃からほとんど行動パターンの変わらない彼が、放課後になるといつも似たような場所に出没するのを、これは完全に偶然ですが、僕は高校に入ってからも何度も目にしたことがあります。

だから、そこに行けば……。
そう思い立ったのは、ほんの数日前のことでした。



そして…その日、部活帰りにわざとそこを通ってみれば、佐伯くんは本当にそこにいました。

隣には、恐らく彼女と思われる女の子連れ…ですが、中学時代に佐伯くんが見せてくれた(女子バスケ部の)彼女の写メとは明らかに別人です。

佐伯くんが彼女を変えることには、僕は別に興味ありませんでしたが。

「お久しぶりです。佐伯くん」
「え? うわぁ!? 相変わらずどっから出てきたんだよ、黒子!」

佐伯くんとは同じバスケ部という以外、あまり交流もありませんでしたが、僕のことは覚えていたみたいです。
今の僕には、それだけで十分でした。

「僕は部活の帰りです。偶然ここを通ったら、佐伯くんが見えたので」

つい声を掛けてしまいました、と言ったのを始めに、僕は佐伯くんの隣にいる彼女に、わざと目を向けました。

「失礼しました。彼女…ですか?」

僕がそう言うと、佐伯くんは自慢するように彼女の腕を引っ張りました。

「ああ、まあな」

羨ましいだろ、なんて言われても、別に何とも思いませんが、今は目的があります。
『今カノ』を自慢する佐伯くんに、僕はわざと、

「前に見せてもらった写メの人に、ちょっと似てますね」

でも違う人ですよね、と、ちょっと声を潜めて言ってみました。
途端、佐伯くんは慌てて、僕を近くのマジバに引き摺りこみました(一緒にいた彼女は無理矢理家に帰したみたいです)。

佐伯くんの今の彼女には悪いことをしてしまいましたが、ここまで来れば、後は簡単でした。
彼は元々、性格も口も軽い人です。

そういえば佐伯くんの元カノ(もちろん写メの彼女です)を最近見かけましたよ、と持ち出せば(嘘ですが)、そこからは僕が訊ねるまでもなく、彼は中学の思い出を勝手に喋り出しました。

僕がしたことといえば、佐伯くんの話を時々、それとなく僕が知りたい方向に誘導するだけです。

そうして僕は、僕が知りたかったほとんどを、佐伯くんから聞き出すことに成功しました。
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