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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


-黒子side-


いつの間にか眠ってしまった△△さんのベッドの傍に立ったまま、僕はしばらく動けませんでした。

『授業、始まっちゃうよ?』

△△さんは気にしてくれましたが、僕自身が、ここから動けなかった…というより、まだここにいたいと思ってしまいました。

それでも保険医の先生がいれば、教室に戻されていたでしょうけど。
その先生も職員会議で、僕達と入れ替わるようにいなくなってしまいました。

僕が教室に戻ったら、△△さんはここで一人きりになってしまいます。
ここは教室ではないし、あの彼女…石嶺さんも保健室までは押しかけて来ないだろうと思いますが、やっぱり一人にするのは心配で……。

(いえ、違います)

本当はそれだけが理由ではないと、僕は僕自身に向けて、心の中で呟きました。
体調の悪い△△さんを一人にするのが心配なのも本当ですが、僕が、もう少し傍にいたいと思ってしまったから。

石嶺さんが、部活中に△△さんが一人でいるところを見計らってやって来たのは、あの一度きり。
代わりに今度は、彼女は毎日のように、堂々と教室まで押しかけてくるようになりました。
△△さんがはっきりと彼女を拒絶している声を僕も耳にしましたが、それでも彼女はやって来ました。

そして今日、遂に怒った△△さんの友達が声を荒げて追い返していましたが、本当は僕がそうしたいと思っていました。
実際、席を立とうとしたことも、今日に限らず何度もあります。
でも、そんな時、僕を引き止めたのは、意外なことに火神くんでした。

女子同士のいざこざに男が首を突っ込むと、かえってややこしくなると火神くんは言っていました(火神くんにしては珍しいことを言うと思いましたが、何処かでそんな経験でもしたんでしょうか)。

良かれと思ってしたことが、逆に迷惑になるかもしれない。
だからやめておけと言われて、踏みとどまってきましたが。

(寝不足と貧血…ですか)

その上、微熱……。
偶然の体調不良というより、彼女によるストレスと考える方がこの場合は妥当だと思います。

守りたいと思うのに、△△さんの為に、何かしたいと思うのに……。
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