第2章 水色~黒子~
でも私だって、前の私じゃない。
だから私は…自分では平気そうにしてるつもりだった…けど。
「ねえ、最近しょっちゅうあの子に呼ばれてるけど、大丈夫?」
「何か言われてんの?」
「ちょっとしつこい感じだよね」
何だか友達に気づかれてるみたいで、私はびっくりした。
だって…確かに彼女達は友達だけど、でも、こんな風に気にしてくれてるなんて、思ってなかった。
少なくとも、中学で『友達』だと思ってた子達はみんな、こうじゃなかった。
だから、私は咄嗟に答えられなくて、友達が心配してくれてるのに、どう返したら良いか分からなくて下を向いた。
そうしたら…そんな時に限って。
お昼を食べ終わったばかりの、昼休み。
あんまり食欲がなくて、ちょっとぼんやりしているそこに、また…来た。
「あ、また来たよ」
「ちょっとムカつかない?」
「私、行って来る」
「え?」
その声に私は驚いたけど、呼び止める間もなく、友達の一人が私の代わりに美由のところに行ってしまった。
「何あんた、○○に嫌がらせ?」
「何のこと? 私、○○とは同中なんだけど」
「はあ? だから何。もう来るなって○○が言ってたの、私達も聞いてたし。それでも来るとか、何あんた、ストーカー?」
友達の中でも特にはっきり物を言う彼女の声を聞きながら、私は慌てて飛び出すと、もう一度美由にきっぱり言った。
「あんたの同好会には入らないし、あんたと関わるつもりもないから。だからもう来ないで」
一言一言、はっきりと力を込めて、私は言った。
友達と私とに連続で言い返された美由は、さすがに分が悪いと思ったのか、私を睨みつけるようにしながらも、その時は黙って帰っていった。
とりあえず良かった…と思った私は、けど気がついたら、膝がかたかた震えてて、その場にしゃがみ込んだ。
「○○! 大丈夫? あいつ、マジむかつく。同中とか…だから何って感じ」
「ホント、ちょっとキモいくない?」
すぐ傍で、友達の声が聞こえる。
『大丈夫だよ』
って言いたいのに、何だか気持ちが悪くて、足に力が入らない。
何でかな、最近、あんまり眠れなかったせいかな……。
(何か…本当に、ヤバいかも……)
もうじきチャイムも鳴るのに、こんなとこで動けないなんて。