第2章 水色~黒子~
-○○side-
悪いことって続いちゃうものなのかな…なんて、ちょっと思った。
気にしたってしょうがないって分かってるけど、頭ではそう思っても、気持ちがついていけない。
美由が同じ高校に入学したのは知ってたけど、クラスも違うし、顔も合わせないままいたのが、あの日に崩れて。
もし会ったとしても何てことないって、そう思って…思おうとして、中学から今までの間に気持ちを整理してたはずなのに、いざ目の前にしたら、やっぱり何でもないってわけにはいかなかった。
そのすぐ後の週末にあったパソコンの試験も、友達や部活のみんなには『余裕だったよ』なんて言ったけど、実は結構ギリギリで、自分的には散々な出来だった。
操作の練習もたくさんして筆記の勉強も頑張って、授業の模試ではちゃんとできたことが、試験当日は全然駄目で、いけないって分かってるのに、違うことばっかりが頭の中でぐるぐるしてた。
美由…それから、中学の…あの頃……。
忘れることはできなくても、もう自分では大丈夫なつもりだった。
けど、まだ駄目なんだって、美由に突きつけられた気がした……。
それでも時間は止まってくれるわけじゃないし、私の気持ちなんて、当たり前だけど周りには関係ない。
特に部活では、もうじき始まるWC予選を前に、練習にも熱が入る毎日。
私一人がうじうじしてる余裕なんてないし、みんなの足を引っ張るようなことはしたくない。
試合が近づいてるせいか、このところデータ管理に対するカントクの注文が前より細かくなって、入力量も増えてきた。
『負担が増えてごめんね』
カントクはそう言ってくれるけど、今の私には忙しいくらいの方が正直ありがたい。
だって。
(余計なこと考えなくて済むし……)
自分にできることをする。
今の私の居場所はここなんだから。
そう思うことで、平常心でいようとするのに、あの日以来、美由は私のクラスにも顔を出すようになった。
教科書貸してとか、ノート見せてとか、それらしい理由を口して私を廊下に呼び出しては、美由はあの日と同じことを口にする。
もちろん私に応じる気はないし、『もう来ないで』ってはっきり言った。
けど美由は相変わらずで、それどころか誘いは段々しつこくなっていく。
しつこくすれば、いつかは私が折れて言うことを聞くってことを、美由は今までの経験で知ってる。