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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


誰にも見られずに二人だけで話そうと現れ、それに成功した彼女に、二号は激しく吠えていました。

彼女に対する印象は二号の反応だけでも十分でしたが、直接目にした僕の心象もまた、ほとんど会話もしていませんが、それでも何処か不快な感じがしたのを覚えています。

それきり黙っている僕に、やがて△△さんは迷うようにしながら話してくれました。

「演劇の同好会を作るから入ってくれって、勧誘されたの」
「同好会? 演劇部ではなく、ですか」
「うん。自分で同好会作るんだって。今から演劇部に入ったんじゃ自分の勝手にできないけど、同好会なら自由にできるからだって。ホント、勝手な奴。あ、もちろん断ったよ。私はバスケ部に入ってるからって。そしたら今度は名前貸してくれるだけで良いとか言い出したけど、それも断ったし。本当、今更ふざけんなって感じ」

言葉の端々に入る、いつもよりちょっと乱暴な言い回しが、△△さんの本音というか、彼女への嫌悪のようなものを表しているようで、僕は『彼女』が出て行ったドアを眺めました。

彼女にしても、断られると分かっていたのではないか。
僕には、そう思えました。

それでも敢えてやって来た理由は、僕には分かりませんが。

そんなことを考えている間に、△△さんがいつの間にか席に戻っていました。

「練習の邪魔してごめんね。けど大丈夫だから。まあ、もしかしたらまた来るかもしれないけど。あいつと関わる気なんて全然ないし」

だから気にしないで、と言ったのを最後に、△△さんは入力作業に戻ってしまいました。

そんな△△さんの無言はまるで、今は一人にして欲しいと主張しているような気がして、僕は…本当は渋々でしたが、頷きました。

「では、僕は行きます」

すると、△△さんはディスプレイから目を上げて、少しだけ苦笑いしたように見えました。

「うん。いってらっしゃい。ごめんね」
「行ってきます。でも、△△さんは何も悪くありませんから」

僕が勝手に来ただけですから、と最後に付け加えて、僕はみんなの後を追いかけることにしました。
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