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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


そうして、僕と先に目が合ったのは、離れた場所(舞台)にいる△△さんではなく、すぐ目の前にまで近づいてきていた、見知らぬ彼女…でした。

「何かご用ですか」

『バスケ部に』とも、『△△さんに』とも言わないまま、わざとそう訊ねる僕に、彼女は…傍目にはごく普通に笑顔を見せました。

「お邪魔してすみませんでした。ちょっと……」

言いながら、彼女は舞台の上にいる△△さんを振り返って。

「友達に話したいことがあって」

(友達……?)

何だろう。
彼女が言う言葉に、何だか違和感を感じます。

彼女と…舞台上の△△さんと。
交互に見るようにしていると、彼女は△△さんに手を振って見せました。

「じゃあ、またね。○○」

友達なら当たり前のそんな台詞さえ、僕には何処か奇妙に聞こえます。
すると、まるでそれを裏付けるように、△△さんが身を固くするのに気づきました。

「返事ならさっきしたでしょ」

『だからもうここには来ないで』

△△さんが暗にそう訴えているのが、僕には見えるほどでした。

恐らく、彼女にもそれは伝わったに違いないのに。

「そんなこと言わないでよ。仲が悪いと思われちゃうじゃん」

笑いながらそう言った彼女は、ちらっと僕を見て、そのまま体育館を出て行きました。

それを横目にしながら僕が舞台に近づくと、やっと吠えるのをやめた二号の頭を、△△さんが撫でていました。

「ありがと、二号。もう大丈夫だよ」

小さな声で、でもはっきりそう呟いた△△さんに、二号は嬉しそうに尻尾を振っています。
もっと褒めて欲しいのか、僕にも近づいてきた二号でしたが、

「すみません、二号」

僕は二号を軽く撫でて舞台から下ろすと、自分はそのまま△△さんのいる舞台に上がりました。

さっきの彼女と、△△さんの様子と。
僕にはどうにも引っ掛かるのに、△△さんはきょとんとしていて。

「黒子くん? 外周は?」

勝手に戻ってきちゃって良いの?なんて、△△さんはあくまで何もなかったような口振りです。
それが余計に気になって、僕は言葉を選ぶように△△さんに近づきました。

「二号が吠えるのが聞こえたので、様子を見に来ました」
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