第2章 水色~黒子~
「ごめん、うるさくしちゃった?」
それにしては私より二号にお説教(?)っていうのは、何だかズレてる感じだけど、やっぱりうるさくしちゃってたからかもしれないし。
「二号のせいじゃないから」
まだ子犬なんだもん。
遊びたい盛りだし。
だからあんまり叱らないであげて…って、私は二号に手を伸ばしたんだけど。
黒子くんは、そのまま二号を床に下ろしてしまった。
「黒子くん?」
まるで無視されたみたいで、私は戸惑った。
途端、黒子くんも、何か、はっとしたような(これまた珍しい)表情をして。
「あ、すみません。けど…二号は子供で、加減を知らないので」
「あ、うん。でも別に、二号は何もしてないよ?」
確かに二号はまだまだ子供だけど、でも別に私は全然平気だし。
だからそう返したんだけど、何か……。
「そうかもしれませんけど……」
あれ? 何か、黒子くんの歯切れが悪い?
いつもなら、思ったことは真っ直ぐ口にするのが、少なくとも私の知ってる黒子くんなのに。
「???」
話が上手く続かなくて、私が首を傾げていると、
「ふふっ」
舞台のすぐ傍には、カントクの笑い声と、
「うあああぁぁっ。てめっ。こっちくんなー!!」
手持ち無沙汰(?)になった二号が、火神くんに突進してるの図…だった。
けど最初にカントクが笑いながら見てたのは、私と黒子くんの方で。
それから、絶叫する火神くんを見て、みんなと一緒に指差して笑い出してた。
ってことは、カントクは私と黒子くんを見て笑ってたってこと?
何だろう?
悪意は感じなかった…と思う、けど。
(昔みたいな…ああいうんじゃなかった、けど……)
理由の分からない笑いを向けられるのは、何だか苦手。
カントクの笑顔は悪意を感じない分、それほど嫌だと思わないけど、それでもやっぱり。