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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


そんな私の声にならない疑問を、カントクはあっさり肯定してくれた。

「かるーく、この何十倍かはあるわね」
「っ!!!」
「メニューとか色々ね、思いつくとノートに書いたり、記録してたりするわけ。だから増える一方なのよ。確かに頑張ってくれるのはありがたいけど、そういうわけだから、無理は禁止」
「はあ……」

こんなこと、言われると思わなかった。
だってすごい勢いで勧誘してきたから、てっきりもっと(失礼かもだけど)こき使われると思ったのに。
って、何か私…顔に出てた、みたい……?
カントクが腕を組んだまま、

「言っとくけど、私はオニじゃないわよ?」

その言い方が既に怖いんですけど…とは言えない私は、かくかく首をたてに振った。

「は、はい。えっと、じゃあ、ちょっと休憩させてもらいます」
「そうそう。そうして。練習してるあっちの連中に合わせる必要なんてないから、△△さんのペースでね」
「はい」
「よしっ」

はっきりしてて、さばさばしてて、良い先輩だなあ、って、素直に思える人だな、カントクって。
まあちょっと、怖いとこもあるけど(ハリセンはびっくりした)。

「んー……」

腕を伸ばすと、ぱきって音がして、やっぱり集中してたんだなって思う。
長く同じ体勢でいると体が固まるから良くないって授業でも言われるんだけど、ついやっちゃうんだよね。

みんなのところに戻っていくカントクを見送りながら、私はお言葉に甘えてちょっと休憩することにした。
っていっても、今は特に他にすることもないし。
私は目の前で行われている練習を、何となく眺めていた。

みんな、すごいなあ。
純粋にそう思う。

IH予選では残念な結果に終わったって聞いてたけど、これから控えてるっていうWCに向かって、みんな頑張ってるのが私にも分かる。

(あ、黒子くんだ)

何人もいる部員の中で、自然と黒子くんを捜してしまうというか、見ちゃうのは、この中では一応、一番よく知ってる人だからなのかな(黒子くんは影が薄くて見失うとか忘れられるとか聞いたことあるけど、私は普通に捜せてる…と思う)。

いつも穏やかで、あんまり表情を崩すこともなくて、物静かな感じの黒子くん。
それが私の知っている彼…だけど。

「ぁ……」

思わず声が洩れかけて、私は口を噤んだ。
だって、そこにいたのはいつもの黒子くんと違ったから。
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