第2章 水色~黒子~
「残念だけど、断られたらしょうがないな、って、私も思ったのよね。本当は」
でもね、と、続けた先輩の目が、きらって光って見えたのは錯覚…なのかな。
「何となく、あなたに興味が出ちゃって、どんな子か見てみたいなーとか思っちゃったのよね。で、先生にお願いして、昨日あなたの様子をちょっと見学させてもらったわけ」
「…………」
それを聞いた私は驚いた…というより、ちょっと呆れた。
(あれ? でも……)
昨日はパソコンの授業はなかったのに。
私の様子を見たってどういうことだろ?
そう思ったのが、多分、顔に出てたんだと思う。
先輩は、ふふっ、て笑って。
「もうじきパソコンの試験があるんでしょ?」
「あっ!」
言われた途端、そうだった、って、私は思い出した。
確かに昨日はパソコンの授業はなかった。
だけど試験対策の為に、放課後パソコンルームは開放されてて、私も友達と一緒に…って……。
「もしかして……」
試験勉強してたあれを、見てた…とか?
そんな私に先輩は、さらっと。
「うん。よーっく見せてもらった! すごかったわー。あんなに速くて正確に入力ってできるもんなのねー。ま、私が遅いだけなんだけど。それに、先生に聞いたら校内でも1、2を争うくらいって言うじゃない」
「…………」
何だろう。
褒められてるっぽいのに、何か喜ぶ気力がないというか……。
何かもう、返す言葉ないって、こういうのを言うのかな。
反対に、目の前の先輩はすっごい元気そうだけど。
「速くて正確で、その上、信頼できて、まだ何処の部にも入ってないなんて! ゲットしない手はないでしょ!」
ね! なんて言われたって、私にどうしろと……。
それに大体。
「信頼って、会ったばっかりじゃないですか」