第2章 水色~黒子~
「ん、平気」
「じゃ、かえろ」
「そだね」
今の私には、友達がいる。
お昼一緒に食べたり、帰りに寄り道したり、一緒に遊んだり。
小中学校の時にも一応、そういう相手がいるにはいたけど、あの頃は上辺だけで、友達だったかって言われると、自信がない。
だけど孤立すると、いじめの標的になるのも分かってたから、何処かのグループに入れてもらったりするのは、何ていうのか、自己防衛?みたいなものだった。
だから、あの頃の友達は、私の中では友達とは呼べない。
実際、困った時には助けてなんてくれなかった。
今みたいに知らない男子に絡まれても、誰も声なんて掛けてくれなかった。
あ、そういえば、絵の具のあの子は違ったっけ……。
(じゃなくて!)
思い出に耽ってどうすんの、私。
とにかく今は、ちゃんと友達って呼べる友達ができて、私は毎日楽しく過ごしてる。
相変わらずの人見知りはまだまだだけど、それでも、ずいぶん自然体でいられるようになったし、自分の気持ちとか意見とかも、ちゃんと自分の言葉で言えるようになった(と思う)。
だから…平気。
この、知らない男子は怖いけど(背高いし)。
「かえろ、かえろー」
「火神くん、○○に絡まないでよねー」
友達が、さっきの男子の背中をべしって叩いてる。
ってことは、知ってる人…なのかな。
そう思って。
「ねえ、知ってる人?」
私は友達に、ちょっと小声で聞いてみた…のに。
「え、うそ」
「マジで?」
妙な反応が返った途端、
「駄目じゃん、火神くん! ○○、アンタのこと知らないってー!」
「こーんなにデカくて目立つのにー」
いきなり笑い出した友達は、またまたその男子…えーと、火神?って人を叩き始めた。