第2章 水色~黒子~
流れるように願望を言いきってから、ほら言っちゃって、と今度はこっちに迫ってくるカントクに、それでも僕は抵抗しましたが、結局最後には白状させられてしまいました。
ただし……。
「確かに僕は、技術的にも、そして信用という点でも、カントクの希望に沿える人を知っています。ただし、その人が拒否したら、潔く諦めてください」
絶対に、しつこく食い下がらないこと。
それだけは約束して欲しいと、僕はカントクに迫りました。
もしそんなことになったら、△△さんに迷惑ですから。
でも…そんな僕を前に、カントクは笑顔のままです。
何故ならカントクは、僕よりずっと上手…でした。
「もちろん、無理強いなんてしないわよ。拒否られなきゃ良いんだから」
「…………」
この人は一体…というより、チームの誰も敵わないのが、よく分かる気がします。
「それ…僕がするんですか」
多分、確かめるまでもないでしょうけど、一応、そう言ってみれば。
「当たり前じゃない。黒子くんの友達なんでしょ? 私のデータ管理補佐ってことで説明してね。一応、マネージャーって肩書きになると思うけど」
「……はあ」
「はあ、じゃないの。明日すぐ!とは言わないけど、ちゃんと連れてきてね」
何だか、妙なことになってしまいました。
△△さんがバスケ部に入ってくれるなら、それは嬉しいことだし、僕が時々バスケ部の話をする限りは、△△さんも興味深そうに聞いてくれてはいましたが。
(だからといって……)
予想外の指令を受けてしまった僕は、それを拒否することも許されず(きっと誰にもできないと思います)、数日の猶予を与えられることになりました。