第2章 水色~黒子~
同じ学校にいながら、それは知らなかったと驚く僕に△△さんはちょっと笑って、
『ここは新設校だから設備も最新だしね』
実はそれにひかれて、ここを受験したんだよ、と教えてくれたのも、そういえば図書当番の時でした。
僕はといえば、そこまでの理由は特になかった、と返した覚えがあります。
ということは、△△さんはパソコンの操作が好きで、しかも入力は速くて正確……。
つまり、カントクのオーダーに見合う人物、ということになりますが。
「ちょっと何? その眉間の皺は?」
ぺちんっ。
「………っ!」
デコピンされました(もちろんカントクにです)。
避けられなかった僕も僕ですが。
それよりも目の前の笑顔に、さっきよりも更に嫌な予感がするのは……。
「黒子くん、思い当たる子がいるでしょ」
「え……」
気のせいじゃなかったみたいです。
というより『入力作業』というワードで、すぐに△△さんのことを思い出してしまったのが敗因(?)でした。
自信満々、にっこり(やっぱり僕にはにんまりに見えますが)笑うカントクに、シラを切るのはほぼ不可能です。
「だれだれ? 入力が正確でそれなりに作業が速くて、かつ、データを管理する以上、信用できる子だったらベスト!」