第3章 青色~青峰~
-○○side-
青峰くんの言ったことが、私は一瞬、理解できなかった。
そしたら。
「おい」
「…………」
「おい、△△!」
こんな風に真っ直ぐに目を見て青峰くんに呼ばれるのって、すごく久し振りだな、なんてぼんやり思いながら、
私は、はっ、として……。
(なに、いまの……?)
青峰くんの台詞を思い出した途端、私は顔を顰めた。
(邪魔じゃ、なかった…って、どういうこと?)
分かんない。
何それ、分かんないよ。
あの時、みんなにからかわれてた青峰くんは、勢いであんな風に乱暴な言い方をしちゃったんだろうってことは、今では私も分かってる。
売り言葉に買い言葉ってやつなんだろうな、ってことも。
だけど、私が『邪魔だった』ってことそのものは、青峰くんの本音なんだろうなって、私はそう思ったから。
だからあの後、私は辛くて、苦しくて…哀しくて。
青峰くんに本当はそんな風に思われてるんだ、って考えたら、もう自分から近づくなんて、二度とできなかった。
青峰くんも、それきり私に話しかけてこなくなったし。
だから余計に、ああやっぱり、って、思ったから……。
それからは、青峰くんから遠ざかるようにして。
そうしてる内に、接点もなくなっていった。
その内、青峰くんは『キセキの世代』なんて呼ばれる一人になって、噂を耳にしたりはしたけど、直接喋ることなんて、もう完全になくなって……。
もうこれで良いんだ、って思ったら。同じ高校とか。
同じ選択授業とか……。
ワケ分かんないって思ってたら、今度はこんなことって……。
「だって…邪魔だって」
「だから、んなこと思ったことねーんだよ」
「思ってもないこと、さらっと口から出るんだ!?」
本当は頭の何処かにあったから、ついぽろっと本音が零れたんでしょ、って言い返す私は、我ながらすごく可愛げがないなって思う。
だけど青峰くん相手に、可愛げも何も、今更ないよね。
今まで散々、嫌な態度取ってきちゃったんだし。
もうどうしようもないよ。
私は頭の中がぐちゃぐちゃで、青峰くんから逃げようとした…けど。
「逃げないっつったのはそっちだろ」
腕を掴まれた私は、顔を見られたくなくて、下を向くだけでいっぱいだった。